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Arai Taku & Associates Tax Advisory · 新井拓税理士事務所
User Guide Officer Compensation Optimizer
User Guide · 操作マニュアル

Officer Compensation Optimizer 役員報酬最適化シミュレーターの使い方

本ツールは、税引前利益・所在都道府県・ご家族構成などをもとに、個人手取り+会社残利益の合計が最大となる役員報酬の組み合わせをリアルタイムで試算します。本ガイドでは、初めての方でも迷わず使えるよう、入力項目の意味、結果の読み方、よくあるご質問までを順を追って解説します。

I.はじめに — Getting Started

役員報酬の月額を決定する際、所得税・住民税・社会保険料・法人税の4つが相互に影響し合うため、最適な金額を直感的に把握することは容易ではありません。月額を上げれば個人の社保・所得税は増えますが、法人側では損金算入により法人税が減ります。この最適点はご家族構成や利益水準によって毎年変動します。

本ツールは、これらの計算を一画面で同時に行い、世帯総負担が最小(手取り合計が最大)となる月額役員報酬をビジュアルでお示しします。スライダーを動かすだけで、KPIとグラフがリアルタイムに更新されます。

こんな場面で活用できます ・期首の役員報酬決議前のシミュレーション / ・事前確定届出給与の届出金額の検討
・配偶者を役員に加える際の最適な報酬配分 / ・利益水準が変わった年度の見直し

II.4ステップで使う — Quick Workflow

左側のコントロールパネルを上から順に埋めていくだけで、右側のダッシュボードが自動更新されます。

01
個人プロフィール
役員ご本人の生年月日、配偶者の有無と所得、扶養家族の構成を入力します。
02
法人・地域設定
税引前利益(年額)、所在都道府県、法人区分(中小/大法人)を選択します。
03
報酬・賞与
事前確定届出給与(賞与)と支給回数、月額役員報酬をスライダーで調整します。
04
結果を確認
右側のグラフで「現在地(青)」と「最適点(緑)」を比較し、最適月額に近づけます。

III.入力項目の解説 — Field Reference

01 個人プロフィール

氏名(任意)OWNER NAME
出力資料・印刷時に表示される識別用の項目です。空欄でも計算結果は変わりません。
生年月日DATE OF BIRTH
役員ご本人の生年月日。年齢から介護保険料の有無(40〜64歳)厚生年金喪失(70歳以上)を自動判定します。
役員の年齢区分AGE BRACKET
生年月日から自動セット。手動上書きも可。40〜64歳は介護保険料が上乗せされます。
配偶者の有無SPOUSE
「あり」を選ぶと配偶者控除・配偶者特別控除の判定に必要な追加入力欄が現れます。
配偶者の年間所得SPOUSE INCOME
配偶者の給与年収を入力してください。103万円以下で配偶者控除(38万)201万円以下で配偶者特別控除が自動適用されます。70歳以上の場合は控除額が48万円に増額。
一般扶養親族DEPENDENTS — GENERAL
16歳以上23歳未満を除く一般の扶養親族。所得税控除 38万円/人、住民税 33万円/人。
特定扶養親族DEPENDENTS — SPECIFIC
19歳以上23歳未満(大学生世代)。所得税控除 63万円/人、住民税 45万円/人。
老人扶養(同居外/同居老親等)ELDERLY DEPENDENTS
70歳以上の親等。同居しているかどうかで控除額が変わります(同居 58万円/同居外 48万円)。
16歳未満の子CHILDREN UNDER 16
所得控除はありませんが、住民税の非課税枠の判定に使用します。

02 法人・地域設定

税引前利益(年額)PRE-TAX PROFIT
役員報酬・法人社保を控除する前の見込利益を入力してください。決算予測値や試算表ベースで構いません。ここから役員報酬を引いた残りに法人税が課されます。
所在地(都道府県)PREFECTURE
協会けんぽの都道府県別健康保険料率と、地方法人二税の超過課税プリセットの判定に使用します。
法人区分CORPORATION TYPE
資本金1億円以下の中小法人は、年800万円以下の所得部分に軽減税率(15%)が適用されます。大法人は一律23.2%。

03 報酬・賞与

年間賞与額BONUS / ANNUAL
役員賞与を損金算入するには事前確定届出給与の届出が必要です。賞与は社保上限(573万円/回)を超えても追加保険料はかかりません。賞与なしの場合は0円のままで結構です。
賞与の支給回数(年)BONUS COUNT
1回/2回/4回から選択。複数回に分けると1回あたりの金額が社保上限に収まりやすく、全体の社保負担を抑えられる場合があります。
月額役員報酬MONTHLY COMPENSATION
同一年度中は原則同じ金額で支給する必要があります(定期同額給与)。スライダー上の緑のピン「推奨」が現条件下の最適月額を示します。

IV.グラフ・KPIの読み方 — Reading the Output

4つのKPIカード

個人手取り(年)NET PERSONAL
役員報酬(月額×12 + 賞与)から所得税・住民税・社保(個人負担分)を差し引いた金額。
会社残利益(税引後)NET CORPORATE
税引前利益から役員報酬・法人社保(会社負担分)を引き、法人税等を控除した最終的な残利益。
合計税・社保負担TOTAL BURDEN
個人と法人の税・社会保険料の合計。これが最小になる月額を本ツールは「最適」と定義しています。
家計+会社合計HOUSEHOLD + CORP
個人手取りと会社残利益を足した世帯ベースのキャッシュ。役員=大株主の場合の実質的な収益指標。

グラフの見方

青の縦線 現在のスライダー位置(入力中の月額)
緑の点線 最適月額の位置
緑のドット(脈動) 負担最小点
スライダー上の緑ピン「推奨」 最適月額

横軸は月額役員報酬(0〜1,000万円)、縦軸は年間金額(円)です。系列フィルタで「全系列/手取り+残/負担のみ」を切り替えできます。青と緑の縦線が重なるように月額を調整すると、世帯総負担が最小化されます。

V.シナリオ比較 — Scenario Snapshots

右上の 「+ スナップショット保存」 ボタンをクリックすると、現在の入力条件と計算結果が保存され、最大3件まで横並びで比較できます。

活用例 ・「月額均等型」「賞与寄せ型」「最適型」の3パターンを並べて比較
・「配偶者を役員に追加した場合」と「単独」のシミュレーション比較
・「中小法人のうち」と「大法人化後」の試算

各スナップショットはローカルブラウザに保存されます。ブラウザのキャッシュクリアやプライベートブラウジング終了時に消えますのでご注意ください。重要な試算結果は印刷ボタンからPDFで保存することを推奨します。

VI.簡易版と詳細版 — Editions

簡易版STANDARD
必要最小限の入力で素早くシミュレーション。社保料率や法人税率は最新プリセット値を自動適用します。初回のご検討や役員報酬決議前のクイック試算に最適です。
詳細版DETAILED
健康保険料率・厚生年金料率・法人税率・住民税の超過税率まで個別編集が可能。5税目分解の内訳表(所得税/住民税/社保個人/社保会社/法人税)も表示されます。実務での税務調整・特殊ケースの検討に。

トップバー右上のセグメントスイッチ「簡易/詳細」でいつでも切り替えできます。入力値はそれぞれ独立して保持されます。

VII.よくあるご質問 — FAQ

入力した数値はどこかに送信されますか?
いいえ。すべての計算はお使いのブラウザ内で完結します。サーバーへの送信や保存は一切行いません。スナップショットも端末内のローカルストレージに保存されるのみです。
表示される最適月額をそのまま採用してよいですか?
本ツールが示す「最適」は世帯総負担の最小化を基準とした概算値です。実際の役員報酬決定にあたっては、個別事情(医療費控除・住宅ローン控除・寄附金控除・ふるさと納税・iDeCo等)や、来期以降の利益見通し、退職金準備、配当政策などを総合的に勘案する必要があります。最終決定は必ず顧問税理士にご相談ください。
事前確定届出給与とは何ですか?
役員賞与を損金算入するには、所定の届出書を税務署に提出し、届出通りの金額・時期で支給することが必要です。届出と異なる支給(金額・日付)を行うと、原則として全額が損金不算入となります。本ツールは届出通り支給される前提で計算しています。
月額を期中で変更できますか?
原則として、役員報酬は事業年度開始から3か月以内に決定し、その後は同じ金額で支給する必要があります(定期同額給与)。期中変更は損金不算入リスクがあるため、期首設定が極めて重要です。
なぜ社保上限がある中で月額を上げると損ばかりに見えるのですか?
月額を上げると所得税の累進税率個人住民税がじわじわ増える一方、社保の標準報酬月額には上限(健康保険139万、厚生年金65万)があるため、ある水準を超えると社保増加は止まります。最適点はこの「累進税率の伸び」と「法人税減少」のクロスで決まり、グラフでは緑のドットとして可視化されます。
配偶者を役員に追加した場合のシミュレーションはできますか?
本ツールは1名の役員報酬を最適化する設計です。配偶者を役員に加えるケースは、2回シミュレーションを行い、それぞれの結果を合算することで概算評価できます。スナップショット保存機能を活用してください。
何年度の税制が反映されていますか?
トップバーに表示されているとおりv2026.04(令和7年度税制)に基づきます。税制改正があった場合は速やかにアップデートいたします。

VIII.用語集 — Glossary

定期同額給与Regular monthly compensation
事業年度を通じて毎月同額を支給する役員報酬。法人税法上、損金算入が認められる役員給与の基本形態です。
事前確定届出給与Pre-determined bonus
事前に税務署へ届け出た金額・支給日通りに支払う役員賞与。届出通りでなければ原則全額損金不算入。
標準報酬月額Standard monthly remuneration
社会保険料の計算基礎となる区分。健康保険は最高139万円、厚生年金は最高65万円が上限。
給与所得控除Salary income deduction
給与収入から自動的に差し引かれる概算経費。年収に応じて段階的に決まり、最低55万円・最高195万円。
配偶者控除/配偶者特別控除Spouse deduction
配偶者の所得が一定以下の場合に、納税者本人の所得から控除される金額。控除額は本人と配偶者の所得階層により段階的に変動。
中小法人の軽減税率SME reduced corporate tax rate
資本金1億円以下の法人に適用される、年800万円以下の所得部分への軽減税率(15%)。それ以上の所得部分は23.2%。
超過課税Surcharge tax
地方法人二税(法人住民税・事業税)について、一部都道府県・市町村が標準税率を超える税率を課すこと。所在地により実効税率が変動する要因。
介護保険料(第2号被保険者)Long-term care insurance
40歳以上65歳未満の被保険者が負担する介護保険料。健康保険料に上乗せして徴収されます。

IX.免責事項 — Disclaimer

本シミュレーションは概算値です 実際の税額・社会保険料は、最新の税制および個別事情(医療費控除・寄附金控除・住宅ローン控除・iDeCo・NISA・ふるさと納税等)により変動します。本ツールの結果は意思決定の参考資料としてご活用いただき、実務上の判断は必ず顧問税理士にご相談ください。本ツールの利用により生じた損害について、新井拓税理士事務所は一切の責任を負いません。

本ツールに関するご質問・ご要望は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。